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イベント取材レポート〜こんなイベントでした〜



下間久里の獅子舞


 下間久里の獅子舞は、約380年の江戸時代初期から行われており、昭和37年に県の無形文化財に指定された。 いまも地元で大切に伝えられている関東の典型的な「一人立三匹獅子舞」だ。 袴をはき、揃いの衣装で腹に太鼓をつけた太夫獅子・中獅子・女獅子の3頭1組で舞う。

  毎年7月15日に行われるこの行事は、朝10時に下間久里の香取神社で獅子舞が奉納される。 獅子の服装は、揃いの衣装で袴をはき、顔の下半分から胸にかけて「こうがけ」というものでおおい、 太鼓を腹につける。

 神社拝殿で笛の演奏を行った後、いったん鳥居の外に出て、御幣を持った太夫を先頭に、 刀を持った副太夫、笛、花笠、獅子が続き、宮参りがはじまる。

社殿で舞ったあとは、家内安全、五穀豊穣を祈り、笛の音に合わせて舞いながら、獅子が町内の家々を回り、 家内安全・無病息災を祈りながら、各戸の座敷で舞う。 太夫を先頭に獅子・笛吹き・連中などその数総勢30〜50人。

この日、下間久里神社には、桜井南小学校の生徒が、地元の郷土文化に触れようと見学に来ていた。 下間久里獅子舞の地元であるこの小学校には「獅子舞クラブ」もあるそうだ。
午後5時より行われた太夫宅での舞では、桜井南小の5年生・6年生が子供獅子舞で参加している。
太夫宅では、酒盛りをし、盛大に「出端」の曲が演じられ、女獅子の舞が終わると、 「しゃんぎり」の軽快な曲が演奏され、ひょっとこ、おかめ、きつねなどのお面をかぶり、 花びらや白い紙に包んだ小銭をまきながら踊る。観客はその白い包みを我先にと拾っていた。 (子供が押しつぶされてます。。)

すべての家々を回り終えた夜の10時頃、下間久里と大里の境で、獅子舞と剣舞「辻斬りの舞」が行われる。 辻斬りの舞は、獅子舞ともども悪霊を切り払い五穀豊穣、悪疫退散を祈る舞。 最後に太夫が右手に刀、左手に御幣を持って「辻切り」をする。 これは地区内を回って追い詰めた悪魔を、ここで追い出すのだと言われている。

下間久里の獅子舞は、宗家ともいわれる雨下(あめがした)無双角兵衛流で、俗に「ささら獅子」とも 言われる。春日部市、庄和町、千葉県野田市などに伝わる獅子舞は、この下間久里の獅子舞が元祖と 言われている。

2004年4月には下間久里獅子舞410周年記念大祭が行われ、下間久里から伝えられたという 春日部市の「赤沼の獅子舞」「銚子口の獅子舞」、庄和町の「中野の獅子舞」、野田市の「バッパカ獅子舞」も 初めて里帰りして披露された。

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当日は大阪の郷土博物館の方も研究に訪れ、熱心に写真やビデオと撮っていました。 舞を舞う獅子を真剣に見守る太夫さんの眼差しがとても印象的だったので、インタビューをお願いしました。 お忙しい最中、少しお時間いただくことができました。

下間久里獅子連中 太夫・松崎庄蔵さん

イン:インタビュアー、松崎:松崎庄蔵さん(敬称略)

イン:松崎さんは太夫になられてどのくらいですか?

松崎:13年目です。

イン:獅子舞を舞う方々はどのような方ですか?

松崎:昔は農家の長男で15歳以上の者が獅子連中入ることができた。 息子15歳になると親が赤飯を持って「獅子連に入れてください」と挨拶に来て入る、というかたちだった。 でも今は農家も減り会社勤めの人が増えたので、農家出身でなくても、長男でなくても、 獅子連中に参加しています。

イン:舞にはかなりの数があると聞きました。皆さんどのくらい練習なさっているのですか?

松崎:7月に入って5日間行われます。若獅子の会の場合は、3月ごろから月1回、 親睦会を兼ねて練習しているようです。

イン:ベールの付いた四角い笠をかぶって、獅子の傍に居た子供たちは?

松崎:獅子の付き人です。花笠で獅子をお迎えし、夜は提灯をもって獅子に付いていきます。

 イン:獅子頭を間近で拝見しましたが、孔雀のような羽を使った立派なものですね。

松崎:当初の獅子頭は、京都からの旅芸人が、武蔵の国に来て置いていった、と言われています。 それがここで獅子舞が発展したきっかけではないか、と。

イン:越谷が誇る歴史ある文化財ですね。今後も下間久里獅子舞を楽しみにしています。 お忙しい中ありがとうございました。



 太夫の松崎家は3代に渡り獅子舞を受け継いでいます。下間久里獅子舞を支えるファミリーです。 (写真左より)

松崎庄蔵さん(下間久里獅子連中太夫)

松崎義一さん
桜井南小学校獅子舞クラブの先生でもあります。

松崎由利子さん
女の子は獅子になれませんが笛で活躍中。舞の曲ほとんど全曲吹けるそうです。

松崎大くん
子供獅子に参加。幼稚園の時に、おじいちゃんに「やりたい」と自ら希望し、獅子舞の練習をはじめました。 小学生ながらとても雰囲気のある舞に、多くの人が「上手いよね〜」と言っていました。



当日、獅子をされた方にもお話を伺いました。

 横川茂さん

イン:インタビュアー、横川:横川茂さん(敬称略)

イン:横川さんは獅子になってどのくらいですか?

横川:獅子連に参加して今年で4年目です。この日参加した「下間久里市獅子連」は約50人ですが、 20年以上の経験者が多いです。

イン:獅子連中に入ろうと思ったきっかけは?

横川:以前から参加したいと思っていましたが、仕事の関係でなかなか参加できませんでした。 また、おじが参加していたこともあります。

イン:横川さんは午前中の獅子舞をなさったそうですが、獅子連のなかで、 獅子と笛の担当は決まっているのですか?

横川:いいえ。獅子連のメンバーは、獅子も笛も両方やります。私は今年から笛をはじめましたが、 はじめはまず笛の音が出ない。音が出せるようになるのも難しいですし、 安定した音が出るようになるまで練習が必要です。舞の曲も13〜14曲は覚えます。

イン:やっていて一番苦労する点は?

横川:夏の暑いなか、獅子頭を付けて舞っていると、汗でだんだん獅子頭がゆるんでグラグラしてきて、 前が見えなくなってくる。舞いの最中に、しょっちゅう手で獅子頭を直すわけにもいかないので、 周りが見えぬまま踊る時もあります。

イン:下間久里獅子舞に参加してよかったことは何ですか?

横川:地元の付き合いができたことです。「入ったら一生」のつもりで参加しています。



会場:下間久里香取神社(会場地図はこちら)