越谷のホタルを育てる会
その3〜「ホタルのこと・ホタルの飼育について」
幹事:佐藤正直さん〜
毎年、鑑賞会で見るホタルはどのようにして育ち、飼育されているのか。
「越谷のホタルを育てる会」の幹事で、会の中心となってホタルを育てている佐藤正直さんに、
ホタルのことやホタルの飼育について取材した。
イン=インタビュアー
佐藤=佐藤正直さん
イン: 佐藤さんご自身がホタルを育て始めたキッカケは何だったのでしょうか。 |
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佐藤:
自分の子供がまだ小学生だった頃、当時、増林地区にたくさん飛んでいたホタルを捕まえ、自由研究の課題にと育て始めたのがキッカケです。
あれから約22年経ちましたが、ホタルの飼育は今も続けています。
ただ、当時は周囲の環境が良く、ホタルも沢山いたので捕まえても良かったのですが、
今はホタルを無断に捕まえることは禁止されているのですよ。
イン:
ホタルの主な種類や特徴を教えてください。
佐藤:
ホタルの種類は世界に2,000種類いますが、日本ではそのうちの40〜50種類がいます。
その中でも、幼虫の時に長い間水中で生活をするホタルは、ゲンジボタルとヘイケボタルの2種類です。
県内で言うとゲンジボタルは秩父地方に、越谷にいるのはヘイケボタルなんですよ。
ゲンジボタルはヘイケボタルに比べると体が大きく、エサはカワニナしか食べません。
住む場所も空気や水が綺麗な環境の良いところにしか住みません。
それに対し、ヘイケボタルは体は小さいですが、エサはカワニナだけでなくヒメタニシやモノアラガイなども食べます。
住む場所も少しぐらい汚い所でも平気で、割りとたくましいホタルなのですよ。
また、オスとメスでは光り方も違く、光りを出す部分がメスが1本のすじに対しオスは2本のすじなのでオスの方が光が強いのです。
これはオスが自分の光でメスを呼び寄せるためなのですよ。
イン: では、ヘイケボタルはどのような一生を過ごすのでしょうか? |
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佐藤:
7月から8月にかけて約0.5ミリの卵の状態からフ化し、9月から翌年の5月まで幼虫になったホタルはずっと水中生活を始めます。
そして大きくなった幼虫は、6月末の夜に長かった水中生活からはなれ上陸をするのです。
上陸した後は柔らかい砂地に潜り「土まゆ」を作り、サナギになるまでの間を「土まゆ」の中で過ごします。
約30日経つと、サナギから成虫になったホタルは地上に出て、オス、メスの順に飛び立ちます。
そして、卵を無事産み終えたホタルは死んでゆきます。
ホタルがホタルとして生きていられるのはわずか2週間だけなのですよ。
イン:
ホタルの飼育をされていてとても嬉しいこと、苦労することはありますか?
佐藤:
今まで一生懸命育てたホタルの幼虫が成虫になり、キレイに光りながら夜空の中を飛んでいるのを見た時がとても嬉しいですね。
やはり、この姿が見たくてずっと育ててきているのですから、この瞬間は喜びもひとしおです。
また、卵から孵ったホタルの幼虫が、水ゴケから水面へと落ちるのを見たときも嬉しいですね。
逆に苦労することは、ホタルのエサとなるタニシを季節に関係なく自分で探し、
飼っていかなければならないことです。また、ホタルの幼虫の大きさに合わせて、
エサの大きさを合わせることやそのエサによって汚れた水をかえるなどの、毎日のサイクルも大変です。
ただし、エサの調達までは会員の皆さんには絶対に求めませんので安心してくださいね。
イン:
最後に、佐藤さんから越谷っ子の皆さんへメッセージをお願いします。
佐藤:
皆さんが一緒になって住んでいる越谷なのだからこそ、ゴミやタバコのポイ捨てなど、
環境汚染に繋がることは絶対にしないようにしましょう。
そもそもこの「越谷のホタルを育てる会」を立ち上げたキッカケの1つは“ホタルがまたたくさん住める綺麗な越谷にしよう”
という願いから、成り立てたのです。今の時代、どうしても人間が優先となってしまい、ただでさえ少ない自然がもっと奪われてしまっているのが現状で、
そしてそれはここ越谷でも起こっています。だからこそ、数少ない自然を皆さんの手でしっかりと守り続けていただきたいのです。
是非宜しくお願い致します。
イン:
今日はホタルに関してのいろいろなお話、ありがとうございました。
【記事・写真】 越谷っ子特派員 阿部智恵美 (2006年7月取材)