みんなで作る越谷市地域密着型情報サイト!越谷タウン情報サイト「越谷っ子」

匠・わが街の職人



【第2回】
越谷手焼せんべい職人
大塚 正雄さん


大塚さん:以下、敬称略「大塚」
インタビュアー:以下、「イン」

イン:越谷せんべいといえば、「炭火」「手焼き」が特徴ですか?

大塚:今、炭火焼でやっているのは、越谷せんべい店の16軒中4軒くらいになったかな。大量生産するためにどんどん機械化した街もあるけど、越谷は手焼きが基本。

イン:なぜ越谷でせんべいが名物になったのでしょうか? 地元「越谷の米」と近くの「野田の醤油」という良い材料が揃っていた、また、日光街道沿いで、旅人が携帯食としてもよいせんべいを好んで買い求めた、という話を聞いたことがありますが…。

大塚:それと、この辺りは以前、煎餅屋が多かったんだけど、宮内庁鴨場や梅林公園に来る多くのお客さんが寄ってくれたこともあるかな。昔は、越谷産の米を使っていた。今、うちでは、日本全国新米の収穫時期を追いかけて、生産者から玄米の状態で直送してもらっているんだ。8月の宮崎産から始まる。新米っていうのは、収穫してから一週間以内のものを指すんだよ。使用しているのは『コシヒカリ』。そもそもコシヒカリの定義は、種が富山県産コシヒカリのものであること。そうした点や、いつ、どこで収穫した米なのか、はっきりしているものを使う。

 イン:その中でも、大塚煎餅さんの特徴、こだわりは?

大塚:今の新米のことや、玄米の状態で仕入れてから、精米・製粉をして生地を作るところも全部自分のところでやっていること。

イン:仕入れた新米が、越谷せんべいになるまでの流れを教えてください。

大塚:玄米を精米する→粉にする→お湯でこねあげる→だんご状ににぎり、蒸す→餅つき→流水で「あく」を取る→もう一度餅つき→餅状のものを薄く延ばす→切り型で抜き、丸い形をとる→網の上に並べて乾燥させる→厚さ5〜6mmの生地の完成。

イン:そして、いよいよ生地を焼くのですね。

大塚:(焼いて見せてくださる。使用しているのは備長炭。乾いた生地を、先が鉄の箸で繰り返し裏返す「カラッ、カラッ」とリズミカルで心地良い音が…)

 イン:焼く時に上から押えるのは、平らに焼けるようにですか?

大塚:これは押瓦(おしがわら)と言って、そうだな、だいたい400g以下のもの。これで上から押えることで、下の炭火の熱が生地全体にまわるんだ。

イン:生地は二まわりくらい小さいですね。

大塚:乾燥すると縮んで小さくなる。こうして焼くと、もとの大きさに戻る。

イン:厚みも増していきますね。
(焼きあがったせんべいに、奥様が一枚一枚ハケで醤油を付ける。せんべいの厚みの部分まで丁寧に醤油を塗っていらっしゃるのが印象的)

大塚:焼きたてにジューっと醤油を塗っていく。本当は冷めてから塗る方が、醤油は少なくって済むんだけど…(笑)。

イン:その分、中までしっかりお醤油が染みていくのですね。(焼きたてをいただきましたが、お醤油の香ばしい・まろやかな味と香りがいっぱいに広がっていきます(編))
あの、表に書いてある「塩せんべい」というのは何ですか?

大塚:江戸の時代、醤油が高価だった時に、醤油を使わず、塩で味付けをしていた。その名残で、今も普通のせんべいを、塩せんべいと呼ぶこともあるんだ。

イン:こちらの創業はいつですか?

大塚:明治33年、1900年創業。創業当初はそうめんを作っていたよ。小麦粉と米という点は違うが、そうめんとせんべいは材料が大体同じなんだよ(笑)。

 イン:大塚さんご自身は、越谷せんべい職人になられてどのくらいですか?

大塚:35〜36年になるかな。

イン:日々のお仕事の中で、難しい点はどんな所でしょうか?

大塚:気温・湿度を見るのが難しい。乾燥した西風が吹くと、干している生地のがあっという間に割れてしまう。湿度計も置いているけれど、湿度計の反応よりも先に、生地の方が割れてしまうんだ。だから天気には気を使う。生地の水分を調節したり、2〜3枚重ねて乾燥させたり、干す時間などを考える。

イン:お仕事されていて、よかったこと、うれしかったことは?

大塚:わざわざ買いに来てくれるお客さんが多いこと。遠くからのお客さんもね。その辺のスーパーにもせんべいは売ってるけれど、是非うちのせんべいを、と喜んでもらえていることがうれしい。

イン:大塚さんのお仕事での今後の目標は?

大塚:「炭せんべい」を売り出す。(※下記【商品紹介】参照) それと、「炭そば(炭とそば粉のおそば)」というものを作った。今後これを広めていきたいというのが目標。今、息子が取扱店さんを開拓しているよ。

イン:大塚さんのご趣味は何ですか?

大塚:お囃子、お神楽をやっている。町内の人たちと能楽堂で練習しているんだ。昔は、地元に残る長男がお囃子・お神楽をやる慣習があったんだよ。市内の大抵の神社に昔から神楽殿があるから、その風習は長いはずだよ。地元の神社のお祭りで奏する。すぐそこの香取神社では今度は2月11日だ。

イン:そのようにして、地元の伝統芸能が受け継がれてきたのですね。
本日はありがとうございました。


【商品紹介】
しょうゆ・ざらめ・黒ごま・青のり(すべて1枚100円)。
 そして2005年1月より販売予定の新作が
「炭せんべい」(1枚100円)
食用炭を使用。炭は、表面に開いている無数の穴が、お腹の中に滞っている有害物質を吸着し便と一緒に排出、腸内環境を良くすると注目されている。独特のさっぱりとした後味がクセになりそう。


■大塚煎餅■

住所  越谷市大沢3-12-12
電話  048(974)1323
営業時間  9:00〜20:00
定休日  月曜日




北越谷駅東口より
徒歩1分

  大塚煎餅さんは、
全国観光連盟推薦品、
埼玉県優良ブランド品に認定されています。